第一原理

  • 「第一原理(First Principles)」とは、ある問題や概念を最も基本的な要素や原則にまで還元し、それを基礎として新しい理論や解を構築するアプローチのこと。
  • この概念は科学、哲学、数学、エンジニアリングなど様々な分野で使われる。

第一原理で考えるステップ

  1. 分解: 問題や概念を分解:対象となる問題や概念を、最も基本的な真実や原則に分解します。
  2. 分析:基本的な要素が何であるかを理解し、それらがどのように相互作用するのかを分析します。
  3. 再構築:この基本要素から、新たなアイデアや解決策を組み立てます。

一言で言うなら錬金術。

第一原理主義の特徴

アナロジーを使わない

  • 既存のケースや事例に基づいて新しい問題を理解しようとします。しかし、アナロジー思考が過去の事例に依存するのに対し、第一原理思考は過去の事例を無視して、問題そのものに対してゼロから考えます

過去から考えない

  • 過去からの延長線上で、思い込みの現実から考えるのではなく、
  • これは通常、近似や経験則に依存しない厳密な計算を意味します。

不純物を取り除く

  • 不純物を取り除いて第一原理まで言って考え、第一原理を原点とする
  • 森を見たら葉っぱや枝が見えるが、本質は幹であり、根っこまでさかのぼれる

第一原理に似た概念

ab initio

  • 「ab initio」はラテン語の表現で、英語での直訳は「from the beginning」または「from first principles」
  • この用語は多くの分野で使われ、基本的な原理から出発して何かを考える、計算する、または解明するという意味で一般に用いられる

基礎研究(Fundamental Analysis)

  • 特に金融やビジネスにおいて、基礎研究は企業や市場の最も基本的な側面を厳密に評価する手法。

ゼロベース思考(Zero-Based Thinking)

  • これは特定の問題に対して既存の前提や制約をゼロにリセットして考えるアプローチです

ルートコーズ分析(RCA: Root Cause Analysis)

  • これは問題の根本原因を特定するプロセスであり、
  • その原因を理解するために問題を基本的な要素に分解することがしばしば行われる

科学的方法(Scientific Method)

  • これは仮説、実験、観察、結論といったプロセスを通じて新しい知識を生み出す手法
  • この方法も基本的な原則から出発点を設定する点で、第一原理思考と共通している

第一原理の例

科学とエンジニアリング

  • 第一原理計算は、量子力学の基本方程式(主にシュレーディンガー方程式)を解くことで、物質の性質や反応を予測する
  • この計算は、実験データや経験則に依存せず、基本的な物理法則だけから出発するため、「第一原理」と呼ばれる。

物理学と化学

  • 物理学や化学において、「ab initio 計算」とは、量子力学の基本方程式(通常はシュレーディンガー方程式)を厳密に解く数値計算の手法を指す
  • このような計算では、経験的なパラメーターや半経験的な方法を使わず、基本的な物理法則だけから物質の性質を計算します。

哲学

  • 哲学においては、第一原理はしばしば「自明な真理」や「基礎的な前提」とされる
  • 例えば、デカルトの「我思う、ゆえに我あり(Cogito, ergo sum)」は、彼の哲学体系においての第一原理であり、この前提から他の知識が導出される。

ユークリッドの幾何学

  • 例えば、古典的なユークリッド幾何学では、点、線、面などは基本的な概念(定義)とされ、それらに基づいて 5 つの公理(第一原理)が提示される
  • これらの公理から、三角形の内角の和が 180 度であるといった具体的な定理が導かれる

算術と集合論

  • ペアノの公理は自然数を扱う際の第一原理としてよく知られている。
  • これらの公理に基づいて、加算や乗算といった基本的な演算が定義され、それを用いてさまざまな数学的性質や定理が導出される。